【バニラ香る和紅茶】
三重県松阪市で育った茶葉を100%使い、バニラの甘い香りを重ねた和紅茶です。
バニラの香りは、香料を使用せずにバニラビーンズ100%の粉末をブレンドしています。
忙しい日常のあい間に、ほっと一息つける、やさしい味わいの和紅茶をめざしました。
【特徴】
・バニラの甘い香りを愉しみながらも、砂糖は入っていないためカロリーを気にする必要はありません。
・マグカップやティーポッドにティーバッグを入れたままにしても渋くなりにくいです。※海外産の茶葉と比較して和紅茶は渋みが低いのが特徴です。
【容量/仕様】
・2g×15包入り
・不織布三角ティーバッグ(紐タグ付き)
松阪のテロワール(風土)を味わう和紅茶物語
ここでは、松阪で育った茶葉が皆様のお手元に届くまでの壮大な物語をご紹介します。
九州、四国、紀伊半島を経て関東まで続く大断層の「中央構造線」が通過する松阪地域。
すべては、この特異な地形・地質特性から物語は始まります。
この大断層がもたらした岩盤のミネラル、朝霧がもたらす清々しさ、そして伊勢街道の歴史。これらすべての要素が、一杯の赤く澄んだ和紅茶のなかに凝縮されています。
単なる日常茶を超えた、「松阪の風土(テロワール)を味わうストーリー性の高い紅茶」として、特別な一杯をお届けします。
全国3位のお茶の生産量を誇る三重県
松阪のお茶の前に、三重県のお茶について見てみます。
三重県は、静岡県・鹿児島県に次ぐ全国第3位の茶生産量を誇る屈指の茶どころであり、その産物は古くから「伊勢茶」として全国に知られてきました。南北に長い三重県は、主に「北勢地域(四日市市、鈴鹿市、亀山市、いなべ市など)」と「中南勢・南勢地域(松阪市、津市など)」の2つの大きな茶生産エリアに大別されます。
同じ三重県内であっても、北勢と南勢では地形・地質的バックグラウンドが大きく異なります。
- 北勢地域: 鈴鹿山脈の東麓に広がる平坦~緩傾斜の台地・丘陵地。約10万~50万年前に形成された段丘や扇状地に遠方の噴火に由来する火山灰が堆積し、水はけが良くアミノ酸を保持しやすい「黒ボク土」が形成されました。この平坦地と豊かな土壌特性を生かし、遮光幕を被せて旨味を高める「かぶせ茶」の一大産地(全国第1位)となっています。
- 南勢地域(松阪市周辺): 北勢のような広い台地ではなく、紀伊山地から続く山あいや河川沿いの急峻な傾斜地に茶畑が点在します。
静岡県(富士・箱根や伊豆火山群に由来する火山性土壌と広大な川沿いの台地)や、鹿児島県(桜島やシラス台地に代表される広大な火山灰台地と温暖な気候)が「広大な平坦地×新世代の火山性土壌」を主軸としているのに対し、三重県・松阪地域の茶園は「大断層運動と古生代の岩石が織りなす山間傾斜地」という、極めて対照的でユニークな自然環境を有しています。
松阪のお茶(茶葉)の自然特性
三重県の北勢地域と松阪地域、静岡県、鹿児島県の3県4地域の自然特性について比較してみてみます。
※どれが良い・悪いという優劣ではありません。
【北勢・静岡・鹿児島と松阪の自然特性比較】
| 地域 | 地形 | 地質・土壌 |
| 三重県北勢地域 | 鈴鹿山脈東麓の緩やかな台地・扇状地 | 古段丘 + 遠方飛来の火山灰(黒ボク土) |
| 静岡県 | 富士・大井川などの広大な台地・大河川沿い | 比較的新しい火山灰土壌、礫質土壌 |
| 鹿児島県 | シラス台地などの広大な平坦台地 | 南九州の火山灰・シラス(極めて水はけが良い) |
| 三重県南勢地域(松阪地域) | 櫛田川沿いの深い谷あい・急峻な山間傾斜地 | 中央構造線南側の「三波川帯(結晶片岩)」由来の粘土質・非火山性土壌 |
【地形地質学の視点】中央構造線と三波川変成帯が生んだ急峻な傾斜地
松阪市南部は、日本最大級の大断層「中央構造線」が横断する地学的な重要エリアです。中央構造線の南側には、高圧力を受けて形成された「三波川変成帯(さんばがわへんせいたい)」の結晶片岩(緑色片岩や黒色片岩など)が分布しています。
櫛田川の長年の侵食作用と断層運動により、この結晶片岩の硬い岩盤が削り出され、深く険しい V字谷と水はけのよい傾斜地が形成されました。この「急傾斜地」は水はけを極めて良くし、茶樹の根が深く伸びるのを促進します。
【土壌学の視点】結晶片岩由来の鉱物と粘土質土壌
火山灰起源の「黒ボク土」主体の北勢や鹿児島、静岡の多くの茶園と異なり、松阪の山間茶園の土壌は、三波川帯の結晶片岩が風化してできた「非火山性の細粒土壌(粘土質を適度含む泥質片岩・緑色片岩由来の土壌)」です。
この土壌は、岩石由来のミネラル分(ケイ酸、鉄、マグネシウム、カルシウムなど)を豊富に保持し、茶樹にじっくりと吸収されます。火山灰土壌のような軽石質のスッポ抜ける水はけではなく、「適度な保水性と高い保肥力」を兼ね備えるため、茶葉の細胞密度が高く、葉肉が厚く育ちます。
【気候気象学・植物生態学の視点】昼夜の寒暖差と「朝霧」が生む濃密な体内成分
松阪の茶園が位置する山あい・谷あいでは、日中は日射により気温が上がる一方、夜間は放射冷却によって急激に冷え込むため、昼夜の温度差(日日較差)が非常に大きくなります。
また、沿岸部や川から発生した湿った空気があたたまり、夜間の冷え込みによって冷やされることで、頻繁に「朝霧」が発生します。
- 朝霧の生態学的効果: 強い直射日光を適度に遮り、茶葉の幼組織をやわらかく保つとともに、アミノ酸(テアニン)がカテキンへ過剰に変化するのを抑制します。
- 葉肉の肥厚: 寒暖差の激しい環境で育つ茶樹は、代謝活動と呼吸消費のバランスから、ポリフェノールやタンニン、糖類などの光合成産物を葉の中にギュッと凝縮させます。結果として、「小ぶりだが肉厚で、体内成分が緻密に詰まった茶葉」が育ちます。
松阪のお茶(茶葉)の文化的特性
松阪のお茶の歴史は、伊勢神宮へ続く「伊勢本街道」や「和歌山街道」といった歴史的交通路と深く結びついています。
信仰と参詣文化が育てた山間のお茶
かつて江戸時代、全国から数百万人規模の人々が集まった「お伊勢参り」。松阪の山間部(飯南・飯高地域)は、大和国(奈良)や紀伊国(和歌山)から伊勢神宮へと向かう参拝客が行き交う重要な宿場町・街道筋でした。 急峻な山道を行く参拝客の喉を潤し、旅の疲労を癒やす「旅籠のお茶」や「献上茶」として、この地のお茶は培われてきました。山間地の厳しい自然と向き合いながら、限られた傾斜地を段々畑として開墾し、丁寧にお茶を摘み取ってきた歴史は、地域の暮らしと景観そのものを形作っています。
製茶特性と「和紅茶」への適性
松阪地域の茶葉が持つ自然特性(厚い葉肉・豊富なミネラルとポリフェノール)は、緑茶の加工技術だけでなく、発酵茶である「和紅茶(国産紅茶)」として加工した際に、圧倒的な強みと物語性を発揮します。
緑茶における「深蒸し」技術の必然
松阪地域は、三重県内でも特に「深蒸し煎茶」の名産地として知られています。
山間地で育つ松阪の茶葉は葉肉が厚く、強い肉質を持っています。通常の蒸し時間(浅蒸し)では成分が抽出しにくいため、生葉を通常の2倍以上の時間をかけてしっかり蒸し込む「深蒸し製法」が定着しました。これにより、苦渋みを抑えたまろやかなコクと、濃い鮮緑色の水色(すいしょく)が生まれます。
なぜ松阪の茶葉は「和紅茶」に向いているのか?
緑茶製法で培われた「葉肉の厚い茶葉」は、紅茶の「発酵(酸化酵素の働き)」プロセスにおいて最高のポテンシャルを発揮します。
- カテキンと多糖類が生む「深みのあるコクと美しい水色」紅茶の芳醇な香りや美しい赤褐色(テアフラビン・テアルビジン)、そして紅茶らしい心地よいキレやボディ感は、茶葉に含まれるカテキン類が酸化酵素によって重合することで生まれます。松阪の山間気候と結晶片岩土壌でじっくり育った肉厚な茶葉は、ポリフェノールや前駆物質を豊富に含んでいるため、発酵させた際に薄っぺらくない「重厚で奥行きのある味わい」を引き出すことができます。
- 「やぶきた」等でも引き出せる、和紅茶ならではの優しい甘香本場海外の紅茶(アッサム等)に比べて、日本の緑茶品種(やぶきた等)で作る和紅茶は、渋みが穏やかで甘みがあるのが特徴です。松阪の茶葉がもつ豊富なアミノ酸とミネラルバランスは、発酵過程でほのかな蜜香や花香、果実のような甘いアロマ(和紅茶特有の優しさ)を際立たせ、ストレートでも砂糖なしで美味しく飲める上質な和紅茶を生み出します。
おわりに
いかがだったでしょうか?
茶葉1つをとっても、お茶になって皆様のお手元に届くまでに、その自然・文化・製法など様々な物語を辿ってきたことが分かります。
「バニラ香る和紅茶」が、これからの皆様の物語につながれば幸いです。
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参考文献・サイト
- 産業技術総合研究所(産総研) 地質調査総合センター
日本地質図Navi / 中央構造線・三波川帯の分布と地質解説 https://www.gsj.jp/ - 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)
日本土壌インベントリー(黒ボク土および非火山性土壌の分布と特性) https://soil-inventory.rad.naro.go.jp/ - 気象庁
過去の気象データ検索(三重県飯南・津・四日市等の寒暖差・観測値) https://www.jma.go.jp/jma/ - 三重県 公式ホームページ
三重のお茶(伊勢茶の生産状況・北勢と南勢の地域特性) https://www.pref.mie.lg.jp/ - 松阪市 公式ホームページ
松阪市の歴史・風土・茶業(飯南・飯高地域の茶史) https://www.city.matsusaka.mie.jp/ - 公益社団法人 日本茶業中央会
日本の茶生産と茶の特性(緑茶・和紅茶の製茶理論) https://www.nihon-cha.or.jp/ - 三重県農業研究所(伊勢茶研究課
伊勢茶の栽培・加工技術・和紅茶適性に関する研究資料 https://www.pref.mie.lg.jp/NOURIN/HP/
